UNIVERSITY OF TOKYO HOCKEY TEAM
東京大学運動会ホッケー部
Est. 1925
2015-10-18
起き上がるために、転ぶ
羽田 泰彬
まだ頑張れる。
辛い時、挫折した時、そう強がりながら、ずっとここまでやってきた。
春リーグはずっとベンチの中だった。出場したい。そうずっと思っていた。
だから、秋リーグに向けた目標は、リーグ戦デビューをすることだった。
成長するチャンスだったはずの夏の七帝。後悔は多い。
FW長としてFWのみんなをまとめきれなかったし、試合では何度チャンスを決め切れなかったかわからない。なんなら倍は得点できたはずだ。悪い流れを良い流れに変えられなかった。
良い流れの時にゴールを決めることは、簡単ではないものの、できて当たり前のことだ。
問題は、悪い流れの時。相手に押し込まれてる時にどうやってチャンスを作り、ゴールを決めるのか。そこにFWとしての力量が試されると思っている。
だから今年は、悪い流れを変えられる選手になることを目指していた。その夢は叶わなかった。現実を見ると諦めるしかなかった。
けれどのんびり挫折をひきずるわけにはいかなかった。迫る秋リーグ。
転んだ時大事なのは、転んでいるアピールをするよりも、どう起き上がるかを必死で考えること。
自分の好きなプレーをどう代表でするかを考えた。狭い所での一対一。キーパーを出し抜いてのプッシュシュート。自分の苦手なルート作りはどんどんミスしてアドバイスをもらった。
夏の練習の日々はあっという間に過ぎた。
そして秋リーグが始まった。
初戦の中央戦、遂に待ちに待った出場機会が与えられた。先輩同期後輩みんなからもらったチャンスを絶対に無駄にしない、と意気込んだ。七帝とは違う独特の雰囲気。グラウンドに立った時は、心躍った。
リーグ戦デビューの目標が、遂に叶ったのだ。
それなのに。
レシーブミス、パスミス、プレスミス。良い流れを途絶えさせるプレー。ここまで上手くいかなかった試合は久しぶりだった。
普段とは違う緊張のせいだ。
と言い逃れするのは楽だが、単に実力不足が表れたのだろう。
思えば、リーグ戦デビューという目標自体良くなかった。デビューして活躍しなければ意味がない。
また、挫折。
でも、まだ頑張れる。
今度はどう起き上がろうか。
まずはベンチとしての役割を果たすことから始める。応援し、指示を出し、交代要員としてキープレイヤーに休みを与える。
その上で、実力をつける。下からの脅かしを退け、「代表たる代表」を脅かす。動き方はビデオをもっと観る。
四年生にはこれまで沢山のアドバイス、叱咤、励ましをもらった。その恩返しができていない。
恩返しは、プレーでしたい。
悪い流れを変えられる選手になる。
その夢をほんとは全然諦めてはいない。必ずなる。