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2014-11-19

走れ

杉浦 武志

158センチ。

周りからは、とても運動部に所属する男の体格には見えないかもしれない。それが僕だ。

自分の体は、長いこと僕のコンプレックスになっている。そして今後もずっと自分につきまとう問題だ。しかしスポーツは、自分よりはるかに大きい相手とも同じ土俵で戦わなければならない。足元のボールを操り、体格差が大きなハンデにならなかったことも、僕がホッケーを始めた理由の一つだ。
もちろんそれで周りとの差が完全に埋まるわけではない。ハンデがあるなら、それを補え、さらにそれを追い越せる武器が必要だ。僕にとってそれが足だった。高校までサッカーをやっていた自分は、脚力には自信があった。スピードこそ特別速くはないが、長い時間走りきる持久力がある。それを生かしたい。そう思って、初めの一年間は誰よりも走ることを目標にしてきた。

しかし、どこかで自分に甘えているところがあった。練習がきついときに足を止めたり、全力とはいえないプレーをやったりもした。そのたびに自分の中で言いがかりをつけて、状況を逃れようとした。だが、入部してほぼ一年過ぎた頃のトレーニングで、その甘さを知ることになった。僕が同期の中で一番走れない選手だということが露呈した。
脚力に自信があるなんてただの思い込みだった。それまでの自分の弱さからすれば当然だが、その時に初めて気づいた。もっと貪欲になり、全力にならなければいけないと。
それから自分を変えた。どれだけ辛くても、食らいついてやろうと。ひたすら走った。しかし、6月に肉離れをした。全力で走れない時期が1ヶ月続いた。何もできない自分に悔しく、虚しさを感じた。グランドの端から見た同期や先輩が、とても生き生きとしているようにみえた。

怪我から復帰した時、再び自分に誓った。もう一度、走れる選手を目指そう、と。僕は今フォワード、特にウィングをやっており、このポジションを僕自身も気に入っている。ただ、運動量が多く、今でもまだ出場時間すべて全力で走りきれていない。そのために練習から懸命に走り、脚力を鍛える。技術も磨きつつ、この足を小柄な自分の武器にする。

勇言実行。
フォワードで、70分全力で走りきり、足でチームの勝利に貢献する。
体格というハンデを覆せる武器を持ち、小さな自分がビッグなプレーをする。
自分に負けない強い意志を持ち、練習に、試合に、本気であり続ける。

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