top of page

2015-10-26

勝つことにこだわる

井上 薫

プール戦が終わり、Bullions2015もいよいよ終わりに近づいている。
このあと迎える試合はどれも負けられないものばかりだ。

私は昔から勝負事があまり好きではなかった。スポーツをすること自体は好きだったし、習い事ではテニス、中高の部活ではダンス部に入っていた。
けれど、テニスは大会なんて出たことがないし、ダンス部だって中学でコンクールには出るものの、コンクールがメインの部活ではなかった。
自分が勝負事をするだけでなく、勝負事をみるのも苦手だった。
テレビでスポーツを観るときも結果を見てからじゃないと、心臓がバクバクしすぎて疲れるから、結果を知ってそのあとに録画を見たりしていた。
結果が分からないことと、自分や自分が応援した人、チームが負けることが嫌だった。
嫌な思いになるなら、勝負をしなきゃいいし、勝つことにこだわらなくていい。
そういう風にスポーツと関わってきた。

だから、ホッケー部に入って初めて試合を観たとき、なんでこの部活に入ったかな、と思った。
すごくドキドキしたし、負けてしまったし、そういえば私、勝負事が苦手なんだったと思い出した。
その後も、ホッケー部に慣れていっても試合に対する苦手意識はなくなることはなかった。


二部リーグで始まった2013年の秋リーグ
プール戦第三戦 一橋との試合
試合終了まであと5分、東大は2点差で負けていた。
私はその時ベンチ外でビデオを撮っていた。

ああ、もう負けるかもしれない。やっぱり苦手だな、試合。

そう思っていた時
当時3年生だった望月さんがゴールを決めた。
すぐに主将の飯田さんも追加点を決めた。

これは、もしかして
勝てるかもしれない!

今までで一番、心臓がドキドキしていた。
でも、今までのドキドキとは全然違った感覚だった。

試合終了直前、再び望月さんがゴールを決めた。


その瞬間の感覚は今でも忘れない。
心の底から嬉しかった。
スポーツに夢中になるってこういうことなんだと思った。
勝つことにこだわって、練習して、チームを支えて、応援して。
勝って、この感覚を皆で味わうために一生懸命にやる。


私はホッケー部に入って、「勝つことにこだわる」ことを知った。
今でも試合前は吐きそうになるくらいドキドキしている。
でも、その感覚も嫌いじゃなくなった。
勝つことにこだわれば、もちろん負けるのは悔しい。あまりいい思いじゃない。
だけど、だからこそ次に勝つために進化していこうとする。
何度も何度も悔しい思いをして、そして勝てたら、一生忘れられない最高の感動を味わえる。
これはスポーツだけじゃない。

今までの私の生き方をひっくり返してしまったあの感覚をもう一度味わうために、勝つことにこだわって進化していく。

bottom of page