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2015-09-16

兆し

布施 拓馬

1年3ヶ月。僕が部活を引退するまでにまでに残された時間である。
この残された時間の中で僕はどこまで成長できるだろうか。


今年になってから練習中にイライラすることが増えた。
原因は分かっている、焦っているのだ。

3年生になると自分たちの学年で代表と育成が分かれ始め、同期との差をいやでも痛感させられるようになった。
このままの水準じゃ俺は試合に出れない。そのことを理解しているからこそ上手く行かない自分に怒りを感じ、それを軽々とやるチームメイトに嫉妬した。

なんで俺はこんなにへたくそなんだ。なにが足りていないんだ。
自分より圧倒的に上手い先輩や同期、後輩を間近に見て練習中こんなことばかり考えていた。


こんな気持ちの中でやるホッケーは昔ほど楽しい物ではなくなってしまった。自分のミスや周りのミスにいちいち苛立ち、そのせいでさらにミスを重ねる悪循環。感情が押さえきれずにスティックを投げてしまうこともあった。


将来ホッケー選手になるわけでもないのだ。毎日きつい練習をして、それを心から楽しめずにイライラしているくらいならいっそやめちまえばいいのに。
練習試合でメンバー漏れした時、たった一度だけそう考えたことがある。

でも次の日にはまたスティックを握ってグラウンドに立っていた。


諦めたくないのだ。1部校相手に勝利したい。自分のゴールでチームを勝利に導きたい。このままくすぶったまま終わりたくない。へたなまま終わりたくない。

そんな思いを抱きながら必死にホッケーをしてきた9ヶ月間だった。
苦しい時もあったけれども前を向き続けながら努力してきた9ヶ月、その成果が最近芽を出し始めた。


突き破れるかもしれない。そんな機運を自分の中で最近感じるようになった。
体の使い方や足の動かし方、そんなところまで意識するようになって初めて感じるようになった感覚だ。
もちろん勘違いかもしれないし、たとえその機運が本物だとしてもそれを物に出来ないかもしれない。
でもこれを逃したらずっと後悔する。今自分がやるべきことはその兆しを信じて愚直にそして全力で練習することである。
このかすかに出てきた突き破るチャンスをものにするために僕は全力で走り続ける。そして絶対にbreakthroughする。 


エースになる。入部する時にたてた目標だ。この目標をかなえるためにこの秋に僕は圧倒的に上手くなりたい。
今が僕のホッケー選手としての分岐点である。

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