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2014-09-09

それでも町は廻っている

松岡 裕人

僕は高校三年間帰宅部だった。大学受験という目標以外は特にこれといった目標もなく、のうのうと高校生活を過ごしていたように思う。そんな僕がどういう訳か“自由”な大学生活とは正反対である運動会に属し、ホッケーばかりの生活を送っている。何故ホッケー部も選んだのかは忘れたが、気が付けばいつの間にかホッケー部に入り、いつの間にかホッケーをしていた。今は純粋にホッケーをしている時が一番楽しいし、ホッケーという競技を通じて東京大学内だけではなく他大学の方々とも知り合うことができて自分にしては良い選択をしたと思っている。

僕のポジションはGKである。10kg程度の防具を身に纏い、身体全身を使って相手のゴールを阻むという、やることは単純なポジションである。以前は自分がナイスセーブをして、たゞゴールを一人で守れば良いと思っていたし、其れこそがGKの花形だと思っていた。だからチームが試合に負けても「僕は良くセービングしたし、頑張った。」と常々に言い訳を吐いていた。しかしそれは単なる逃げだ。ゴールは何もGK一人で守るものではない。11人全員で守るものだ。フィールダーが必死にトイメンに食らいつきシュートコースを限定してくれるから、フィールダーがシュートモーションに入った相手に対し必死にシュートブロックしてくれるから僕はシュートをとめることができる。指示出しだって同じだ。僕の指示に従って懸命にマークについてくれるからサークル侵入を防ぎ、ゴールを守れるのである。なにも自分一人がゴールを守っているのではない。10人のフィールダーがゴールを守ってくれるからこそ僕が最後の砦として活きるのだ。「ホッケーはスポーツチーム」なのだ。

その上で僕が目指したいGKは「チームを勝たせるGK」だ。自己満足するためにゴールを守るのではなく、チームを勝たせるためにゴールを守る。スポーツは勝負事。勝たなきゃ面白くない。一点決められてもチームの皆が二点決めてくれることを信じて追加点を許すまいと必死にゴールを守る。そしてここぞという時に自分の上手さを発揮してチームを勝利に導く。それが僕のGK像だ。

最後に。僕は左肩反復性亜脱臼(要は脱臼)に悩んでいた。肩が外れる恐怖から練習も肩がなるべく外れないよう自分にキャップをかけて参加していた。ホッケー心から楽しめていない自分がいた。だから僕はこの前手術を受けた。医者からはリハビリを含めても競技への復活には6ヶ月かかると言われた。大学生活残り二年半の僕にとって半年はあまりにも長い。でも手術することにした。ホッケーを心から楽しむためだ。僕が練習に完全復帰する頃には多分四年生の先輩の姿はない。BULLIONS2014は終わっている。根本さんも、源さんも、万さんも、坂井さんも、りゅうさんも、陸さんも、亀さんも、望月さんも、佐藤さんも、大橋さんも、ちあきさんもいない。多分四年生の先輩とホッケーすることはない。お世話になった先輩に対し、インカレでも秋リーグでも何も力になることができないのが非常に悔しい。この六ヶ月色々と思うことは出てくるだろうが腐らずにいきたい。悔し紛れに一言、僕は上手い!

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